塾長のつぶやき…Vol.11 「“中2の壁”にぶつかったのは、悪いことじゃない。」
中2の6月ぐらいからでしょうか。
「最近、うちの子、何だかパッとしないんです」
「前はもう少しやる気があったのに…」
そんな声を保護者の方からよく聞くようになります。
テストの点も、
成績も、
急に伸び悩む。
勉強していないわけではないのに…
そういえば家でもなんだか不機嫌。
口数も減る。
割と素直だった子が、
目をそらすようになったり、
無視したり。
「え、これ反抗期?」
「このままで大丈夫なの…?」
と、不安になられるお気持ち、
よくわかります。
でも、
私はあえてこう言います。
「今、つまずいているのは、
決して悪いことではありません」と。
■ 中2の壁=成長の兆し
中学2年生という時期は、
身体も心も、
ものすごく大きく変化するタイミングです。
大人に近づきつつも、
でもまだ未熟で、
周囲の期待と自分の現実とのギャップに苦しむ。
「勉強しなきゃ」
「部活頑張らなきゃ」
「ちゃんとしなきゃ」
――わかってはいる。
でも、気持ちと行動がかみ合わない。
こうした“自分で自分を持て余す感覚”は、
実は「思考が深くなり始めた証拠」なのです。
ただ言われたことを何となくこなしていた
中1の頃とは違い、
自分の中で「なぜ?」「どうして?」と
考えるようになったからこそ、
急に手が止まり、迷い、混乱する。
これこそが「中2の壁」の正体です。
■ 早めの“失速”こそ、立て直しのチャンス
勉強の成果が出ないこともあるでしょう。
生活が乱れることもあるでしょう。
でも中3の、ましてや受験直前にそれが起きるより、
今ここで“つまずけている”方が、よほど良い。
一年後にこうなってしまうより、
遥かにマシです。
なぜなら、
中2で壁にぶつかっている子には、
まだ時間があります。
今なら、
自分のやり方を見直すこともできるし、
習慣を作り直すこともできる。
むしろ、
今のうちに一度“うまくいかない”を
経験しておくことで、
中3になってからの成長が加速します。
つまずくことは、
恥でも失敗でもありません。
むしろ、
「自分の限界に初めて出会えた」
という貴重な経験です。
■ 親は“サポーター”でいてください
この時期、親御さんが一番やりがちなのが、
「ちゃんとやりなさい!」
「なんでできないの?」
「こんなんでどうするの?」
という叱咤や説教です。
でも、
つまずいているときの子に一番効くのは、
叱ることよりも「待つこと」。
気持ちは分かります。
でも、
問い詰めることよりも「見守ること」。
子どもが「自分で立ち上がる時間」を
奪わないでほしいのです。
中2の今は、
心の筋肉をつけている途中です。
時間はかかりますが、
ここで粘って鍛えた子は、
受験生として確実に強くなります。
■ 最後にひとこと
“壁”にぶつかったのなら、
それは成長のチャンスです。
傷ついたとしても、
乗り越えた先には
「自分を信じられる力」が残ります。
塾は、そんなお子さんの
“成長の瞬間”に
寄り添いながら、
決して無理をさせず、
でもしっかりと導いていけるような
存在でありたいと思っています。
焦らず、
見放さず、
信じてあげてください。
今、もがいているその子は、
きっと来年、誰よりも強くなって
帰ってきますから。